失業率

 事実上の失業率が30%近くに達する日が近づいている。7月の完全失業率は4.7%だから、そんなアホな……と思うかもしれないが、さまざまな統計を積み上げていくと驚愕の数字が浮かび上がってくるのだ。
 最大の要因は1ドル=70円台半ばの超円高だ。企業は悲鳴を上げ、次々と日本脱出を決めている。半導体大手のエルピーダメモリは国内生産の4割を台湾に移転し、パナソニックは1万7000社に及ぶ部品の調達先を1万社に減らす方針で、「絞り込まれるのは国内企業が大半」(業界関係者)だ。
 トヨタやホンダも、ハイブリッド車の基幹部品を海外で現地調達するという。ブリヂストンやダイキンは中国で工場を建設すると発表した。第一生命経済研究所の嶌峰義清主席エコノミストが言う。
「1ドル=76〜77円では国内製造業はもはや成り立ちません。経産省が実施したアンケートでも、いまの円高水準があと半年続いたら、大企業の46%、中小企業の28%が工場や研究施設を海外に移転すると回答しています」
 富山県金型協同組合に加盟する中小企業18社は、共同でインドネシアに工場を建設する決断をした。東京商工リサーチの友田信男情報本部長はこう言う。
「ハイパー円高にさらされ、中小企業は廃業・倒産か、海外移転かの二者択一を迫られています。どちらにせよ雇用を直撃です。工場移転や閉鎖は、周辺のスーパーや飲食店などサービス業の雇用も奪うので深刻です」
 大企業の「46%が海外移転」、エルピーダは「国内生産の4割」を台湾に移す。おおざっぱにいえば3〜4割の雇用が失われてもおかしくない状況だ。
 総務省の労働力調査(7月)によると製造業の就業者数は993万人。その3分の1が職を失うとしたら330万人以上が失業だ。「一般的に失業率の1%は60万人」(嶌峰義清氏)を元に計算すると失業率は5.5ポイント上昇する。
 卸売・小売業は1016万人の就業者数がいるが、工場移転のあおりで1割が仕事を奪われると失業者は101万人。失業率は1.7ポイント上がる。
 それだけではない。09年の「財政経済白書」は“社内失業者”を528万人から607万人とした。失業率にカウントされない就職希望者も452万人(労働力調査11年4〜6月平均)いる。実質失業者は1000万人超に上り、失業率換算で16.7%。
 すべてを積み上げるとどうなるか。ナント23.9%だ。これに完全失業率4.7%を足すと28.6%になる。
 1ドル=50円時代を予言するエコノミストも増えてきた。そんなことになったら実質失業率30%では済まなくなる。どんな手を使ってでも円高を是正しないと、日本の雇用は完全に崩壊してしまう。


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2011年09月19日 Posted byスグル at 18:47 │Comments(0)ニュース

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